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 花巻市の産科不足の取り組み    2019年12月18日(水) [お産・医療]

 先日のお産の活動報告を夕べUPしようと何度も試みましたが、更新画面だけがなぜかフラッシュ攻撃で全くできず!?前日のアホなホッカイロから、すぐに次を更新して隠蔽工作したかったのに失敗(;^ω^)。前置きはこれくらいにして、マジな話に移ります。

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 12月16日(月)、花巻市の産院不足問題について、「お産と地域医療を考える会」の新田と小野寺が、花巻市健康福祉部地域医療対策室の長山義博室長にお話を伺いました。    (以下、会はお産と地域医療を考える会、市は花巻市)  
                                

会:市内の久保クリニックが産科をやめ、県立中部病院への東北大からの医師引き上げによりこれまでの月50件以上から15件に分娩制限するため、産む場所がなくなる、遠くまで通わなければならないという状況に、市としてはどういう対策や取り組みをしていますか。


市:中部病院の産科については、岩手県と何度も話し合い、市から要望を行って、また、岩手医大や医師会にも直接お願いに上がり、岩手医大から中部病院へ産科医を師派遣いただけることとなりました。しかし、岩手医大でも医師は十分でなく、何名派遣できるのかは明確でないことと、これまでの東北大のやり方と医大のやり方の違いもあるとのことで、当初は月15件程度に制限しながら徐々に増やしていくと聞いています。


(会:久保さんは市内で一番多い分娩施設で年間300件、内花巻市民が150件と聞き、市内の二つの個人産院で遠野・北上・奥州市などの中部医療圏もカバーしていました。中部病院の年間550件が180件になり370件と久保さんの300件で単純計算しても年間670件の分娩が産む場所を失うことになります。これは、当会が2004年に活動のきっかけになった岩手県立花巻厚生病院の産科閉鎖の年間400件の産む場がないと大騒ぎした数を大きく上回るという大変な状況です)


会:産科医不足に加えて深刻なのが助産師不足で、久保さんでも助産師不足がひとつの要因でもあります。花巻市は市内の産科に就職する助産師に就職支援金等の対策を発表しました。


    IMG_3493[1].jpg
 詳しくは花巻市ホームページでhttps://www.city.hanamaki.iwate.jp/kenko_iryo_fukushi/chiikiiryo/1010235.html


市:市内の二つの産科医療機関、久保クリニックと工藤医院において助産師・看護師を確保することが目的です。出産や子育てで休職していた助産師や看護師の方、県外からも就職いただきたいと考えています。県内の助産師養成の大学で学んでも半数以上は県外へ流出してしまうこと、岩手医大を卒業した産科医であっても、岩手に残るとは限らないこと、さらに2024年からは、医師の働き方改革によって、医師の時間外勤務の縮減が実施されることから、医師が集約化されていくことが懸念されます。医師不足が深刻なのは地方であって、医師の偏在が問題です。2030年頃には医師が関東圏などでは余ると言われています。


会:医師不足は2004年に岩手を皮切りに全国的な社会問題になり、国は医師養成数を増やしたり、偏在をなくすために、国が地域医療研修として医師不足の地方に数年間義務化するとかの案も当時は出ていましたが、義務化はされていないようですね。


市:医師養成事業の奨学金を受けて医師になられた方であれば、義務履行期間がありますが、、この期間が終われば、県内に残るかどうかは医師の気持ち次第ですから、そこは義務化できないでしょう。

会:お産は本来医療でなく自然な営みでありながら、病院の集約化で計画分娩や管理分娩が増え、妊婦が主体の満足度の高い出産が減ることを危惧しています。当会では2004年の活動開始から、医師不足の中で医師の確保が難しいならば、助産師を活用しましょうと提案してきました。産科施設がない地域に助産師を配置し、定期健診から正常出産の場合は助産所やバースセンターでの分娩を近隣大病院の医療のバックアップにより行う、新たな産科医療システムです。(※下記チラシ参照)
 今回花巻市の産院危機状況の中で、市営のバースセンターを運営するというのはどうでしょう。医師不足の地域での産科医療モデルになるのでは。


市:高齢化や少子化、医師や医療スタッフが不足・偏在化している中、特に広い県土を有する岩手県において、産科を含めた医療を市町村が独自に維持・運営することは困難であり、岩手県が医療機関と地域の声を踏まえながら二次医療圏単位で公的病院の経営計画や医師の配置を行っています。市では地域医療の維持と拡充について、機会を捉えて岩手県や医療機関と協議し、また、要望をしていますが、市が直接的に医療に介入したり、助産所を運営することはできないと考えます。市内の医療機関や助産院の支援をすることはできますが。

(会:遠野市は市内に産科施設がなくなり、市外の産科施設に行くのに1時間はかかり、冬の雪道は更に困難で、全国初の市立助産所を立ち上げた。が、そこでできるのは健診にとどまっている)



会:では、来春移転新築オープンする総合花巻病院に期待したいのですが、院内助産か助産師外来などのバースセンター機能を設けて、医師が見つかったらすぐ分娩も対応できるというのはどうですか。


市:総合花巻病院では、とりあえず助産師だけで始めて、医師を後から確保するという考えではありません。その逆で、産科医・小児科医といった周産期医療体制が確保できていないと、総合病院としての責任が果たせないと考えていると伺っています。開設するからには母子のリスクに対応できる体制を、との考えであると理解しています。
(会:残念ながら、産科医と同じく小児科医も医師不足で花巻病院に小児科がなくなったのです)


会:それはわかりますが、それだと医師が来ない限り、状況は改善できないですね。


市:助産師・看護師がどれほど重要であるかは承知しています。同じように、搬送や手術など、リスクへの対応も欠かすことができない重要なことです。医師の働き方改革など、医療を取り巻く環境が大きく変化している中、市ができることは限られていますが、主導する岩手県、医療機関と今後も協議を重ね、地域の声を届けながら、、地域医療を維持していきたいと考えています。


会:長山室長、お忙しいなか1時間半に渡り、誠意ある対応を有難うございました。



 先日、県立中部病院に分娩制限のことも含めて、病院長か産科部長にお話を伺いたいと電話したら、事務所の方がすべて県の指示によるのものなので何も答えられない、県に聞いてくださいと言われました。すぐに県医療局に電話したところ、医師支援対策室の方が、岩手医大から何名医師が派遣されるかがまだはっきりしないので、15件に制限していますとのことで、それ以上のお話は聞けませんでした。


 これまで、会からの要望書や会報の発送は県医療局長宛にしていましたが、長山室長に知事部の医療対策室か医師支援推進室が担当部署と教えていただきました。次回は、その知事部に県の政策についてお話を伺いに行きたいと思います。


 ※下記は、2007年に国会へ100万人の全国署名を届けようと活動を行った時、岩手県でのこれからの産科医療システムをわかりやすく書いた当会のチラシです。

 チラシお産.jpg



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