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 おいもののせなかだより12月・1月  2023年12月8日(金) [おいものせなか通信]

 おいものせなかだよりがやっと出せました!11月は休んでしまい、1月と合併号です。
 年末年始や1月のお休みも書きました。来週水曜日12月13日は休業します。

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 ウラコラム

 図書館は宝の山!?~子どもからお年寄りまで楽しめる図書館を

                        2023.12.8

 11月27日、新花巻図書館の署名運動で市内外から集まった署名4730筆を市長に提出した。私は1万筆を目指していたが、保守的な花巻の風土とマンパワーが足りなくて伸び悩んだ。それでも人口120万の広島市で駅前商業ビルへの図書館移転の反対署名が5473筆というのだから、よくやった。花巻は新図書館の立地で駅前と病院跡地で二分され、計画から10年以上経つ。その経過はおいものホームページで。


 私は図書館が好きだ。休日には足を運び、通信のコラムも毎回テーマに沿って何冊も本を借りてよく利用する。築50年の建物は快適ではないから長居はしないけれど。図書館運動の仲間にはあまり利用しない人もいるが、彼らが熱心に署名を集めるのは花巻愛があるから。「20年後、30年後も、よかったと思える図書館を子どもたちに残したい」と、幼児からの絵本の読み聞かせなど本からの情操教育は大事だと考えている。想像力豊かな感性と、自分の意見を述べたり、考えたりする人を学校教育の場以外で育てる場が図書館だ。


 また、子どもからお年寄りまで楽しめる図書館は、まちづくりにもつながる。図書館を基点に中心市街地に人が流れるよう整備すれば、市民だけでなく市外から図書館に来る人が増えて、まちの商店街の経済も活性化する。このようにまちづくりの核としての図書館だけでなく、人口獲得のための対策として、移住から定住を促した図書館もある。島根県の離島、海士町(人口2300人)は「島まるごと図書館」で若者定住を増やした。「島にはコンビニもカフェもないが、図書館がある」と、都会から移住した若者は言う。たまに一人になれる空間が、図書館なのだ。


 図書館の役割は、「単なる無料貸本屋ではない」と、いま全国で新しい、開かれた図書館がつくられている。これからの図書館は地域の問題解決に役立つ図書館になることを期待されている。文部科学省の方針で、これからは課題解決型の公共図書館を提案しているのだ。

 たとえば、自分や家族が病気になったとき、仕事や人生で悩んだり、わからないことがあった時、お金の問題なども、図書館にはたくさんの本や資料がある。検索したり、司書に尋ねてみるのもいいし、東京の神保町では、図書館に探している本がないと町の書店を検索してくれ、観光やどこで食べたらいいかなどの案内も、司書が本のまちのコンシェルジュになる。

 Library of the Year(LoY※)2018の優秀賞の勝沼図書館は、ワインとぶどうの資料をコツコツと集め、司書が地元のワイナリーとも密接な関係で、よくワインの試飲会をやり、玄関には「ワイン飲めます」と書いてある。他に、地元の米粉の栽培と普及のために、米粉ベーカリーをレシピ本と共に貸し出した図書館もある。これらは地域の課題解決のためのビジネス支援の一例である。  ※これからの図書館のあり方を示唆するような先進的な活動を行っている機関に対して贈られる賞


 佐賀県に、スタバと蔦屋書店がある話題の武雄市図書館や、300人ものボランティアが支える市民協働の伊万里市民図書館、カフェやNPOの複合施設の中に、中高生も楽しめる東京の武蔵野プレイスなど、利用率が爆上がりした素敵な図書館が全国にどんどんできている。

 また、著名な建築家が手がけた図書館は、磯崎新「北九州市立図書館」、安藤忠雄「新潟市立豊栄図書館」、隈研吾「富山市立図書館」などがあり、新進建築家による作品の図書館も全国にたくさんある。そういう図書館は外からの来訪者も増えて、まちの経済効果が大きい。

 スタジオ併設で、講座や講演会、ミニコンサートの企画を行っている図書館も多い。毎年直木賞受賞作家や、人気の絵本作家をよぶ図書館もある。図書館は出会いと発見の場で、これまでまったく図書館に関心のなかった人や子どもたちを呼び込み、つなぐ役割を果たす。図書館を使って何かを学び、そこから得たものによって、幸福度が増していく。図書館は問題解決のヒントを与えてくれる知恵の宝庫、宝の山。

 岩手県で優れた図書館と紹介されるのが紫波町図書館。2016年にLoYの優秀賞を受賞している。官民連携の複合施設オガールの中にあり、町民との200回を超える対話の末にできた図書館は、地域の農業支援と野村胡堂ゆかりの地として胡堂文庫の歴史を受け継いでいる。


 さて、新花巻図書館は?私たちが希望する旧花巻病院跡地は宮沢賢治ゆかりの地で、広大な敷地は立体駐車場の必要がないし、遠くに霊峰早池峰の山々が、眼下に町並みが見える。そこにテラス席をつくったら、争奪戦必至。カフェもあるが、お腹がすいたらヨーカドーも上町商店街も坂を下りればすぐ。花巻城址につづく周辺を花と緑にしてベンチを置き、そこでマルシェを開けば、産業支援と人々の交流の場になる。映画の上映会や講演会ができるマルチスペースもほしい。隣接のまなび学園はシニアの生涯学習施設でこどもセンターがあり、高校生の学習場所にも活用されているので連携も◎。

 図書館利用率が高い高齢者が老後も楽しく暮らしていたら、若者は戻ってくる。年々人口減少の自治体では、維持経費を考えると市民協働で「おらほの図書館を支えよう」という、市民が望み愛される図書館がつくられるべきだ。


「駅前の希望もあるから、駅前と跡地双方の事業費を調査して市民に提示する」と市の答弁。高いか安いかで決める?調査費用は1800万円!12月議会で予算案を通して調査に9ヶ月もかかり、その後市民説明会を開き、来年度中に場所を決定するというが、また1年先延ばしと莫大な経費と時間にのけぞった。跡地は花巻病院との協定で市有地になるし、議会も図書館は市有地にと提案した。なのに、新たにJR用地を購入してまで市が駅前に固執するのはなぜ?跡地と事業費比較する調査は無意味、税金の無駄遣いでは?JRとの交渉記録の黒塗り文書はなに?そんな疑問をぶつけても回答が理解できない。1軒1軒歩いて署名を集めた市民の想いを、どこまで受け止めているのか。


 元朝日新聞記者の増子義久さんは、全国の友人100人に署名用紙を送った。署名を返してくれた中には、宗教学者で花巻の初代名誉市民の山折哲雄さんや、イーハトーブ賞受賞者の赤坂憲雄さん、哲学者の花崎皋平(こうへい)さんらの著名人も続々いて、応援エールに励まされる。
 花巻市は今まちづくりのパブコメ(※)を募集中だ。こんなまちにしたいという意見を送ろう。行政を信じて、自分のまちを一緒に良くしていこう!


 ※11/20から12/19まで、来年度から8年間の長期まちづくり総合計画についてのパブリックコメント募集。詳しくは花巻市の広報や市のホームページで。

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