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 ファッションの裏側には      2019年4月25日(木) [フェアトレード]

 先日から始まったフェアトレードの服の春夏展示会に、毎日お客さまが来てくれています。あれこれ楽しげに着てみては迷い、お客さん同士で会話して、のんびりした光景です。

 初日に決めかねて、きのう再度訪れた方や、色々迷ってまた来ますという方も。今週末にはほづみさんが来られるので、的確なアドバイスが聞けます。ぜひまた週末の昼前頃から午後3時頃までにいらして下さい!(*^^*)


 はじめての方に、一般に流通している服よりも少し高め、でもオーガニックコットンや手織りという天然素材でていねいに作られた服の意味を最近ちゃんと伝えていなかったかも。

 そこで、2年前に通信に書いた文章を再度掲載します。本当は同じ文章の再掲は良くないのですが、あらためて説明できなくて、すみません。長いですが(^_^;)、読まれて、フェアトレードの服にこだわる趣旨が伝わればと思います。

 どうぞ、フェアトレードの服の展示会に、お気軽にいらしてください!


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おいものせなかだより 2017年5・6月 裏面

   フェアトレード・ファッションって、なに

 「やはり、あの映画を観て、考えさせられました。中学生の娘にと、先日の展示会で買ったTシャツを着心地がいいのかすごく気に入ってくれ毎日着てて、ヘビーローテーションです」と笑うのは、フェアトレードの服を職場でも愛用しているМさん。


 映画は、昨年5月のフェアトレード月間に、おいものせなかで上映した映画「ザ・トゥルー・コスト(真の代償)」のこと。大量生産・大量消費・大量廃棄のファスト・ファッション(※)の裏側を取材し、安くてすぐに捨てられる服の生産が、作る人や環境にどれだけ影響を与えているかの衝撃的な内容だった。

 「ものすごく驚いています。発展途上国で衣類の仕事をしていることは、そこの人達が裕福なっていると思っていました。ショックでした。もっともっとみんなが知るべきだと思いました」(映画のアンケートより)


 バングラデシュの低賃金の縫製工場のビル倒壊で数千人が犠牲に。カンボジアで最低賃金の改善を求める女子工員に…。米国で売れない大量の古着がハイチに寄付された末に、地元の服飾産業が消えた。世界は今ファストファッションが主流に。

 しかし、その背景にあるのは、労働者の健康被害、水汚染、教育や医療を受けられない低賃金労働など。私たちが日常買う服の、本当の代償は何か?


 「もしあなたがもう少しお金を払ってくれれば、私たちの暮しも少し良くなるのでしょう」とバングラデシュの縫製工場で働く25歳の女性。

 ではどれだけ高くなると、彼らは食べていけるのか。世界4000万人の衣服労働者のうち、バングラデシュに400万人。バングラデシュの最低賃金は2010年にようやく月額3000タカ(約2900円)に引き上げられ、その前の10年間は1660タカ(約1600円)。できれば最低賃金が5000タカに保障されてほしい。そうすると、先進国で2500円で売られているジーンズの価格が100円上がるだけ!?

 「映画は想像以上に驚く内容でした。知っていたつもりでも、改めて映像として実際に見ることで意識が変わりました。まずは、知ることが本当に大切だと感じました。服や食べ物を選ぶ、ひとつひとつ自分の行動が世界につながっていて、政治的な意思表示にもなり、自分の発言になっているんだなと。日々の自分にできることを小さなことからでも少しずつやっていこうと思いました」(映画のアンケートより)

 映画はファッション業界の影を描くだけでなく、解決方法のひとつとして、日本のフェアトレード・ファッションの活動も取材した。また、映画の後にフェアトレード団体ピープルツリーの胤森なお子さんの講演会を行ったことで、映画への理解も深まったようだ。
  
 弱い立場が搾取されるような状況は、ファッション業界だけでなく、すべての分野で起こっている。途上国に安く外注していけば、国内の産業は消えていく。自分の消費が与える影響と責任を考えてみようと、映画は私たちに問いかけている。
  
 ※ファスト・ファッション~“早くて安い”ファストフードになぞらえた言葉。日本人の衣類の45%がファスト・ファッションというデータも。  
 

 フェアトレード・ファッションとは、世界でも日本の団体が独自に開発してきたもの。1940年代にイギリスで始まったフェアトレードの活動は、かつて植民地にしていた発展途上国の貧困改善と自立支援のために、現地で生産されたコーヒーや紅茶、手工芸品を適正価格で購入し、「お買物で国際協力」「贈り物はフェアトレードで」と欧米で広まった。

 1986年、その活動が日本で始まり、私もその活動に関わる。しかし、途上国支援というと募金や物資の寄付が一般的な日本では、商品を買うこと=支援という公正貿易(フェアトレード)の意味がなかなか理解されない。この活動は、売れなければ意味がない。生産者に注文を継続して行うことが経済的自立につながるからだ。

 そこで、フェアトレード団体はファッションに着目する。服は、消費者が毎年新しいものを購入するし、1枚の服を作るのに、織り、刺繍、染め、縫製とたくさんの人の手が必要で、多くの雇用を生み出す。更に、効率的な機械生産の普及で失業した手織りや手刺繍の職人の仕事の復帰と、手工芸の伝統的技術を守っていくことにもつながる。


 インドでは綿花の栽培農家が農薬の害で皮膚病や半身不随などの健康被害のほか、農薬の借金で過去16年間に25万人の自殺者(30分に1人の割合)という現状。日本の団体は、生産者の健康や環境を守りたいと、無農薬栽培の綿花(オーガニックコットン)に取り組み始めたのが1998年だ。日本の消費者の基準は世界一厳しい。日本で通用する服づくりに、生産者を招いての研修や専門家を連れて現地で指導するなど、生産者と団体の長年の努力の末に、作る人の健康や環境に配慮したフェアトレードの服が出来上がる。


 「フェアトレードの仕事があって、本当にうれしいです!」と笑顔で言うのは、ネパールの生産者の女性たち。家庭でも社会でも差別と抑圧、貧困に苦しんでいた彼らは、収入がある仕事を得て自信をつけ、生きる希望を見出した。

 いつもドキドキのフェアトレードの服の展示会。今年の春夏展示会は、はじめての方や若い方も来てくれた。赤ちゃん連れのKさんは、出産してから買う物を選ぶ意識が変わったという。「でも、通販でも買ったことがあるけど、なぜか大事にしようとは思わない。お店で買った方が大事にしようと思うんですよね。うちは酒屋をやっていたので、商品はお店で買った方がいいと、私は思っています」

 今はネット通販におされて、小売店はどこも厳しい。たとえ同じ商品でも、お店や展示会で見て、試着して、その商品の良さをお話して、と超アナログだが、お客さんの顔や声と、私もすてきな商品を売る喜びがあるから、頑張って続けたい。


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