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 おいものせなかだより11、12月  2022年11月26日(土) [おいものせなか通信]

 おいものせなかだよりが、やっと出せました(^_^;)。ますます、字だらけです。

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ウラコラム

 この国は恐ろしい国?(※) ~弱者に寄り添わない国の政策

                          22.11.25

 インボイス制度をご存じだろうか。来年10月から施行される税制で、施行まで1年を切り、フリーランスや小規模事業者の新たな課税に強い反発があり、10月26日に東京で大規模な反対集会が開かれた。これまで年間の売上げが1000万円以下の個人事業主は、消費税の免税事業者だった。アニメーター、声優、ライター、アーティスト、農家などは、年間売り上げが1000万円以下で、経費を除けば実質所得は150~200万円である。その低所得の事業者から消費税を新たに徴収する。10%(約15万円)の消費税課税は生活していけず廃業を余儀なくされる。

 また、これまでも納税事業者は例えば商品の売上げにかかる消費税から、仕入れの消費税分を差し引いて、消費税を納税する仕組みだが、インボイス制度は仕入れ元が発行するインボイス(適格請求書)がないと、仕入れにかかる消費税分を差し引けず、自社の負担が増す。インボイスの発行ができるのは課税事業者だけ。なので、フリーランスは仕事先から課税事業者になるか、仕事を打ち切られるかの二択を迫られている。フリーのライターや校正者に仕事を依頼するプロダクションも納税の更なる負担は死活問題だからだ。

 政府は公平な納税に欠かせない仕組みとするが、これは国が国民の弱い者いじめでしかないと、当事者だけでなく国会議員や経済ジャーナリスト、税理士も導入に強く反対する。国は富裕層には優遇する税制にし、富裕層減税で減った税収に国民から公平に搾り取った消費税が回され、公約だった社会保障や福祉に消費税はまともにあてられていない。国の大半を支える小規模事業者が廃業していけば、どうなるのか。小さな有機農家も深刻だ。みんな勤め人か非正規労働者になれということか。アニメや演劇などの文化が衰退していくと業界は懸念する。下請け業者の税負担が増えた分、価格も上がるだろう。

 彼らだけの問題ではない。国は消費税を10%から北欧並みに上げていくための準備のインボイス制度だから、すべての国民に関わる問題だ。今ならまだ間に合う。誰でもが自分がやりたい仕事ができるように、反対の声をあげて廃止にしよう。「STOP!インボイス」で検索すれば、わかりやすい解、説動画や反対集会でアニメーターなど、多くの「私がSTOP!インボイスに声をあげる理由」が聞ける。または、change.orgでも。


 今年4月から食品の表示が次々改悪されている。かつて食品の表示は厚生労働省や農林水産省が管理していたが、2015年の食品表示法の施行に伴って、表示の所管は新たに設置された消費者庁に一元化された。消費者庁はその後、年ごとに順次食品表示基準の見直し検討会を開催し、検討を進めてきた。これまでも食品表示には不十分な点が多く、日本消費者連盟は何度も意見書を出してきたが、いつも業者の意見ばかりが通って、消費者の意見は無視され、わかりにくい表示が改善されずにきた。

 更に、今年から、「遺伝子組み換えでない」「Non-GMO」などの表示は今までのようにできなくなり、食品添加物の「無添加」「不使用」表示も規制されている。これらの表示はこれまで、遺伝子組み換え推進派や食品添加物業界が目の敵にしていた表示だった。どちらの表示も、わかりにくい法定の食品表示の代わりに、商品の特長を消費者にわかりやすく伝える役割を果たしてきた。今までは任意で表示できたが、消費者庁はこれをできないようにした。消費者庁はその名の通り、消費者の利益を守るための役所のはず。それが業界の言いなりで消費者にわかりにくい表示にする。

 食品表示基準で食品添加物は原則物質名で表示するように決まっているが、実際に物質名で表示されている食品添加物は多くない。それは特定の用途やグループに属する食品添加物は「一括名」や「類別名」で表示されているから。その中には安全性を懸念される食品添加物もある。例えば「膨張剤」の中には、アルツハイマー病のリスク要因と疑われるアルミを含むミョウバンが使われ、「増粘多糖類」には発がん性の疑いのあるカラギーナンがよく使われている。

 加工食品の原材料の原産国表示は3カ国以上なら国名を書く必要がなく「輸入」と表示でき、パンの原料の小麦粉の「国内製造」表示は、国産小麦でなく、米国産やカナダ産の小麦を国内で製粉している。輸入小麦には遺伝子組み換え栽培や有害なプレ又はポストハーベストの使用が懸念される。また、「合成」や「人工」の表示は禁止され、「合成保存料不使用」や「人工甘味料不使用」などの表示ができなくなり、「化学調味料」の表示自体もできなくなった。私たち消費者は食品の安全性を知る権利、選ぶ権利がある。(日本消費者連盟の消費者リポート4月号より)


 介護保険制度の利用者負担が1割から2割になり、その他の費用負担も上がる法案が審議されている。これは当事者だけでなく、将来家族の介護など若者にも影響があるすべての人の問題である。今40歳以上は介護保険料を払っているが、予算が足りないからと30歳から徴収する可能性も指摘されている。高齢化社会に突入したいま、無視できない問題。ネット署名change.orgのサイトで詳しい説明や動画なども見れる。

 日本は先進国の多くが食料自給率100%の中で40%以下の最低の自給率だ。農家を大事にしない国。更に農家を苦しめる政策を農水省が決定した。水田活用交付金が向こう5年間で1年間でも稲作をしないと交付金を打ち切るのだ。コロナ禍で米価が暴落し、米の減反拡大を打ち出す中で、転作した畑をまた1年でも米を作れというのは農業つぶしだと農家は反対する。水田を畑に畑を水田に転換するのは簡単なことではない。農水省の考えも合理的だという声もあるが、現場を知らない、農家の声を聞かない政策は予算削減のための弱い者いじめではないか。

 政治は国民の税金を預かって、国民が安心して暮らせる社会にすることだ。しかし、この国は弱い、貧しい国民に寄り添っていない政治。マイナンバー制度しかり、国民の暮らしがどんどん国が管理しやすいように画一化されている気がする。弱者や多様性を認める社会になってほしい。

 ※「この国は恐ろしい国」は1988年初版の人間選書のタイトル。当時世界一お金持ちの国といわれた日本の福祉行政の貧しさをリポートした本。



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