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 おいものせなかだより9・10月号    2022年9月9日(金) [おいものせなか通信]

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 ウラコラム 香港と沖縄に想う          2022.9.9

〇 ドキュメンタリー映画「時代革命」

 先月、映画「時代革命」を観た。158分という長さと重い内容への不安は、映画が始まってすぐに消し飛んだ。最後まで目を離せず、泣きそうな気持で観た映画だった。これはフィクションでなく、実際に今の時代に起こっていることだと思うと切ない。香港では上映禁止なので、カンヌ映画祭などで直前まで知らされずにサプライズ上映され、国際社会に深い衝撃を与えた。監督はキウィ・チョウ。穏やかな中に芯のある、若い監督だ。


 映画「時代革命」は、2019年6月に香港の民主化を求める大規模デモからの約180日間を撮ったドキュメンタリー。2回目の6月16日のデモには、人口の3割の約200万人が参加した。デモの発端は、犯罪容疑者の中国本土引き渡しを可能にする逃亡犯条例改正案が立法会に提出されたこと。あたりまえの自由を求めて、10~30代の若者が牙をむきだした権力に、命がけで立ち向かっていく。「僕が尽くした相手は香港ではなく、香港人だ。次の世代のため、未来のため、すべてを捧げる」「自分は真の香港人だと思っている」香港人に強い誇りをもって、中国の支配に抵抗する。

 多くの逮捕者や犠牲者を出した民主化運動は、この改正法撤回を勝ち取ったが、2020年夏、より強圧的な香港国家安全維持法が施行され、自由への圧迫はますます強まった。ネットで「映画時代革命」を検索しただけでも逮捕されるという。言論の自由がない、民主的な選挙ができない。「国家の犯罪や暴力に抵抗するには声を上げ、行動し続けるしかない」と、キウィ・チョウ監督。すでに十数万人が香港を離れたが、彼は香港にとどまり、逮捕されることも覚悟で、映画制作を行っている。「間違っていないと思うことをいつも通りにやり続ける、それだけです」。


 映画のパンフレットで、日本在住で香港に家族がいる20代女性のメッセージから。
 「ロシアとウクライナの動きに、香港人はとても関心を持っています。香港と台湾も、同じように同時に中国にやられるんじゃないか、と不安視しています。今後、中国共産党は、香港と中国に対して動きを強めていくでしょう。(略)台湾の問題も日本を巻き込むでしょうから、日本の若い人たちも、もっと政治に注目した方がいいです。政治は生活に深く関わっています。みんなの暮らしも受けている教育も、ビジネスの発展も、結局政府や制度が影響していて、政治が悪くなると今の生活はなくなるのです。自由な生活がなくなってしまった今の香港を通じて、そのことを考えてみてほしいのです」

 日本でも秘密保護法など、政権批判監視や報道の自由が脅かされる悪法が成立している。決してひと事ではない。
 盛岡のルミエールで9月23日から上映される。自由とアイデンティーをめぐる、絶望と希望の物語。スクリーンでしか観られない、衝撃の158分。



〇 沖縄復帰50年  

 今年は沖縄復帰50年。新聞やテレビで沖縄戦の特集がなされ、あらためて沖縄の問題を考えさせられている。日本は敗戦の戦況にもかかわらず降伏せず、本土防衛のために沖縄を捨て石に戦場にさせ、20万人以上の住民が巻き込まれて死んだ。敵の米兵よりも怖いのは、日本兵だった。そして今も日本の米軍基地の7割が沖縄にあり、土地を奪われ、騒音や暴行事件など多大な負担を沖縄に課してきた。


 沖縄県民は50年前、「基地のない平和な島」を目指し、基本的人権や平和憲法のある日本へ復帰したが、日米両政府は「基地の島」を押しつけ続け、県民投票で72%が反対にも拘わらず、政府は辺野古新基地建設を強行している。海底の軟弱地盤や遺骨混じりの土砂の使用も大問題だ。さらに政府は沖縄本島周辺の南西諸島に自衛隊の新拠点を建設しミサイル配備をして戦争準備を進め、有事になれば沖縄が再び戦場になるのだ"(-""-)"。


 横浜のフェアトレード団体ネパリ・バザーロの土屋春代さんは、東日本大震災後に東北被災地の支援活動に尽くし、陸前高田の椿油製油所や野田村の山葡萄ワイナリーの起業の復興支援に関わった。それらが軌道に乗った後は、気にかけていた沖縄に目を向け、沖縄カカオプロジェクトをスタートさせ、カカオの栽培はじめ黒糖や海塩の沖縄の生産者を応援する。

 さらにアジア太平洋戦争の書籍や資料を調べて、沖縄戦の生き証人に会って話を聞き、ネパリの季刊カタログに渾身の記事を書く。前号では沖縄の特攻隊のこと。最新の秋カタログでは、終戦後、日本軍による久米島の住民虐殺の事実を知って言葉を失った。戦争は罪のない民間人を平気で殺す。大義名分で行う破壊・殺人は国家犯罪に思える。

 
 戦後、日本は戦争で犯した罪をきっちり検証し教訓とせず、歴史教科書から削除して、なかったことのようにした。土屋さんは久米島の記事の中で、「同じ敗戦国ドイツは『過去に目を閉ざす者は現在にも盲目になる』と、罪に真摯に向き合い、ホロコースト(ナチスによるユダヤ人大量虐殺)の現場を残し、世界中から訪れる人々に恐ろしい戦争犯罪を伝えています。日本では戦争の悲惨さを伝え、平和の大切さを訴えるための施設の多くは民間による運営で厳しい経営状況を抱えています」

 沖縄カカオプロジェクトのチョコレートの売上げから寄付される、福島の子どもたちの保養施設「沖縄・球美の里」も民間施設で支援者の寄付で支えられている。(沖縄カカオプロジェクトは第4期支援会員を募集中)土屋さんは、「戦後生まれが大半になった今だからこそ、自ら積極的に過去を知る努力を続けなければなりません」と、久米島の虐殺の記事を締めくくる。


 「歴史は学ばなくてもいい」と言ったこの国の政治家がいた。国民は知るな、考えるなと教育基本法を改悪し、報道にも圧力をかける。選挙権を18歳に下げたのも、徴兵制のため?現政権は憲法改正、自衛隊のミサイル配備等、戦争の準備を着々と進めている。戦後77年、沖縄の人たちの痛みを知り、過去の戦争の歴史も学ぼう。私たちの税金は軍事費5倍(増額)よりも、平和のために、国民の福祉に。主権者は納税者である国民だ。




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