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 おいもだより11・12月号   2021年11月19日(金) [おいものせなか通信]

 今月の通信が、やっとできました。いつも裏を書こうとすると、時間ばかりかかって、足を引っ張ります(*_*;。だって、表だけだとお店の宣伝中心だから、面白くないもんねー。

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 ウラコラム

   沖縄・福島・岩手をつなぐチョコ 
                         2021.11.18

 9月末に、フェアトレードショップの仲間が岩手に来てくれた。私が前に、「みんな花巻に遊びに来ないかなあ」と言ったことで、フェアトレード団体ネパリ・バザーロ創設者の土屋春代さんが声かけしてくれて、横浜と名古屋から老舗ショップの岩手ツアーが実現した。

 来県当日の朝、名古屋組が空港に行ったら便が欠航で!急きょ新幹線にというハプニングもあり、初日に花巻の温泉を満喫した翌日は一路陸前高田へ。陸前高田は、ネパリ・バザーロが震災の復興支援で開設した椿油の製油所「椿のみち」がある。地元で伝統的な椿油をつくり、その食用の椿油と岩手産の原料とで作った化粧品やシャンプーは高品質で支援になる。そこでは2年前からチョコレートの製造も行っており、特別にその工程を見学させてもらい、被災から10年の陸前高田で、津波伝承館や発酵のカモシー、再建直後のジャズ喫茶も訪ねる旅を、昔の仲間とできたうれしい3日間。


 ネパリの土屋さんが1991年からネパールの貧困改善に取り組んで、20年経った時に起きた東日本大震災。すぐに全国から支援を募り、スタッフと一緒に毎週末仕事を終えて、横浜から岩手・宮城に駆けつけ、被災地の人々を食事と温泉に招待する温泉ツアー等を行った。その活動を約6年間続けた後は、地元の産業復興が必要と、ネパール支援で培った経験から、陸前高田で椿油の製油所を、野田村では山ぶどうワインのワイナリーの開設に奮闘。それらの事業を徐々に軌道に乗せ、次に土屋さんは気になっていた沖縄に足を運ぶ。沖縄戦の悲惨な歴史や、戦後も米軍基地等の問題を抱え、厳しい状況の沖縄で、何かできることはないかと模索し、そこで頑張る人々に出会って、2017年に、「沖縄カカオプロジェクト」を立ち上げた。


 それは、沖縄産カカオをもとに新たな産業を創り、障がいがある人や一般就労が難しい人たちに仕事の機会を生みだすことが目的である。また、そこで福島原発事故による放射能汚染地域に住む子どもたちの保養施設「球美の里」の支援も行う。ただ、沖縄産カカオの実の収穫まではまだ何年もかかるため、インドの有機カカオを輸入し、沖縄の黒糖でチョコづくりをスタートさせた。このプロジェクトは活動を応援してくれるカカオフレンズによって支えられている。それは、チョコレートの製造量が限られているため、予約中心に販売することで、作業する人たちが安定して仕事ができるため。現在第3期のカカオフレンズを募集している。一口1万円の支援で、たくさんの雇用にもつながる。

 
 今回初めて、「椿のみち」でチョコレートの製造過程を見学させてもらった。開設当初に訪ねた時は、椿の実の手作業での選別作業にとても大変な仕事だと思ったが、カカオバターを使わないチョコはとても難しく、毎日の気温と湿度を見極めて微妙に機械の設定を変えるという。作り始めてまだ2年というのに、若いスタッフの職人技に驚きの連続。これだけ手作業で丁寧に作られているとは。「ただ美味しいだけでなく、沖縄と福島と陸前高田の支援になるチョコです!」と、地道な作業だが仕事にやりがいを感じているスタッフの笑顔に、こちらもパワーをもらった。

 
 今回来県してくれた仲間、名古屋の風”s(ふ~ず)の土井さんは、愛知県女性総合センターの中でお店を構え、フェアトレードのほか人権・女性等の学習会を精力的に行い、講演もこなしてきたパワフルな人。同じく名古屋のショップ、オゾンの杉本さんと私は、実は30年以上前にフィリピンバナナの農薬問題で出会っていて、旺盛な探求心と知識に脱帽だ。横浜のグリーンバザールの菅波さんは、ネパリ・バザーロの復興支援や沖縄への研修ツアーには必ず参加して、いつも笑顔で地道にお店を続けている。


 私たちはフェアトレードショップの第一世代と言われていて、社会問題の矛盾や不公正・不平等を何とかしたいという市民運動的想いからお店を始めた世代。まだみんな勢いがあった頃は、お店同士の交流会もあったが、本当に十数年ぶりの多分これが最後の岩手ツアーかな…。時代と共に閉店や縮小する店もあり、「第一世代で昔と変わらずお店を続けているのは、おいもさんくらいかも」と言われて、えー、こうなったら、フェアトレード不毛の地と言われた東北で、伝説の店になったるわ~(笑)。
 
 
 さてフェアトレードチョコといえば、今年はピープルツリーが30周年を迎えて、30周年特設サイトが設けられている(※)。ネパリ・バザーロは来年30周年を迎えるし、ウインターチョコの第3世界ショップは今年35周年だ。日本で初めてフェアトレード事業を始めた年に同団体にいた私もフェアトレードに出会い35年だが、おいもは再来年で満30周年に。
 

 私がフェアトレードを始めた頃は、この活動が広がれば世界はきっと良くなるだろうと信じてきた。しかし世界で難民や貧困は増加の一途。私も働けど~楽にならず、じっと手を見る。気づけばとうに還暦を過ぎて。私がやってきたことは何だったのか?と。でも、途上国の人の困難や、命をかけて人のために働く、デニ・ムクウェゲ医師、中村哲医師、土屋春代さんらのすごい生き方を思うと、私は命の危険もないし、毎日ご飯もお酒もありがたく頂けている。自分に与えられたこと、できることをやっていこう~(*^。^*)。



(※)「私たちは、世界を変えるのに「大きな」ビジョンは必要なく、世界を良くしたいという明確な想いと地道な作業のみが、変化をもたらすことを証明しました。私はこれからも、フェアトレードの推進、環境に配慮した持続可能な生活スタイルやビジネスの推進、生態系の搾取を阻止するための活動を決してやめたくありませんが、世界を良くする方法が書かれている魔法のような本はありません。それぞれが自分の考えを見つけて、自分の能力を最大限に発揮しましょう。あなたが考える世界を良くする方法は、私とはまったく違うかもしれませんが、目指すところは一緒です。すべての人々と地球にとってサステナブルな世界に向けて、さらに歩みを進めていきましょう。」 ピープルツリー社長・共同創設者 ジェームズ・ミニー




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