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 おいものせなかだより7&8月  2020年7月5日(日)  [おいものせなか通信]

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ウラコラム

 タネが危ない?食卓が危ない?
                       2020.7.3

 女優の柴咲コウさんのツイートで、水面下で進められていた「種苗法改正法案」に一挙に関心が集まった。今国会では黒川検事長の不祥事から一旦見送られた問題。しかし、種苗法改正ってなに?とても複雑で難しい。賛否両論あり、どちらも「日本の種を勝手に流出させたくない」「日本の農業を強くしたい」というのは共通するらしい。
 
 吉田太郎著「タネと内臓」の本をもとに、この問題で反対派の立場から発言している印鑰智哉(いんやくともや)氏、山田正彦元農相、鈴木亘弘東京大学教授の情報からまとめてみた。

 まず、種苗法改正に反対する側の懸念は次の7項目である。

 ①種子法廃止(公共種子事業の廃止) ②種の譲渡(これまで国や県が開発した種は企業がもらう) ③種の自家採種の禁止(企業の種を買わないと生産できない) ④非GMO(遺伝子組み換えでない)表示の実質禁止 ⑤全農の株式会社化(非GMOの分別輸入は目障りだから買収) ⑥除草剤(ラウンドアップ)の輸入穀物残留基準値の大幅緩和 ⑦ゲノム編集の完全な野放し(勝手にやって表示も必要なし)

 この「7連発」は、すべて特定のグローバル種子企業への便宜供与のための一連の措置だという。

 このグローバル種子企業というのは、遺伝子組み換え市場シェア90%の米国のモンサント社(2018年バイエル社が買収)だ。遺伝子組み換え食品の消費と関連して、不妊、アルツハイマー病、糖尿病、皮膚病、自閉症等あらゆる病気が激増している。遺伝子組み換え農作物とセットの除草剤ラウンドアップも発がん物質としてEUをはじめ世界中が禁止に向かっている(※1)。


 ロシアは独自の遺伝子組み換え食品研究からいち早くその危険性を見抜き、反遺伝子組み換え食品ネットワークを立ち上げ、プーチン大統領は2020年までの有機農業による国家自給と栄養価が高い有機農産物の輸出戦略を行った。
 米国においても、子どもたちの5人に1人が糖尿病や肥満等になった反動から、年率30%の伸び率で有機農業ブームとなり、遺伝子組み換え農産物やラウンドアップをボイコットする母親たちの運動が高まっている。
 フランスでは、除草剤があまりに危険なために3年後には販売が規制され、モンサントが安全だと宣伝するコマーシャルは虚偽であるとして最高裁判所が有罪判決を下している。

 同じ除草剤の安全基準値が何の根拠もなく、2017年にひまわり油の残留基準値がいきなり400倍に規制緩和された日本(※2)では、売り先がなくなりつつある毒物ラウンドアップの在庫処分のために国民の健康が軽視されている。

(※1) ラウンドアップが原因で悪戦リンパ腫を発症したと訴えていた米国の末期がん患者の主張を認め、2018年サンフランシスコの裁判所はモンサントに約320億円の支払いを命じた。米国では同様の訴訟が5000件以上起こされている。

(※2) 厚生労働省食品基準審査課は「名前は言えませんが、ある農薬メーカーから基準値を上げてほしいとの申請があったのがきっかけです」と答えている。日本のメディアでは全く報じられないのが問題。農水省の担当者も知らなかったという。メディアには企業の圧力で、報道すると謝罪文を書かせられた。


 除草剤グリサホート(商品名ラウンドアップ)は、土壌の微生物を殺して悪玉菌を増やし、健康な植物も病気になり害虫も増え農薬を使わざるを得ない仕組みになっている。遺伝子組み換え作物に残留するグリサホートが、人の腸内細胞にも土壌と微生物の関係と同じように作用する。人の免疫力の7割は腸内細菌によるもので脳や精神にも影響する。免疫力が落ちると様々な病気やうつ病、アレルギー等を発症する。


 モンサント社をドイツのバイエル社が買収したのは、遺伝子組み換え食品を食べさせ、病気になった人をバイエル社の医薬品で治す需要が増えるのを見込んだ新しいビジネスモデルとの見解もある。これらの事は、おいもで上映した遺伝子組み換えの映画の内容と合致する。


 「タネが危ない」の著者で固定種のタネ屋さん野口勲氏は、野菜の種のほとんどがF1(※3)品種になっていることを問題視する。在来種と違って均一に育つから大量生産や大量流通には向く。しかし、自家採種できないから農家は毎年、種子会社から種子を買わなければならない。更に、野菜の種は9割が海外産。そして世界では種子企業の寡占化が進んでいる。

 野口氏は若い頃手塚治虫氏の元で「火の鳥」の初代担当編集を担った。生原稿から伝わるメッセージの根幹が「生命の尊厳」にあることを知り、改めて家業のタネ屋を継ぐことを決意したという。

 2001年製作のアニメの中で自然農法の創始者・福岡正信氏をモデルにした翁の言葉は、「世界を支配するには武器を使うよりもタネや食料を独占する方が遥かに効率的だからな。(略)土が弱るから肥料がいるようになる。肥料をやった畑ほど虫に食われ、餌を与えすぎた家畜ほど病気になる。その虫や病原菌を殺すために薬を撒いたり飲ませたり。姿ばかり大きくて弱くなった作物を人間が食べたとしたら…」

 虫も草も一緒になって野菜や米を育てているのではないか。約20年前のアニメは自然と調和した小規模農法の大切さを先駆的に訴えている。


 農薬を多用する大規模農業の大量生産のやり方は、均一でどこでも同じものを作って、売るために安さを競う。価格競争に負ければ廃業して町も土地も廃れていく。それよりも固定種の種で、地域に適した個性ある有機農産物を作る小規模農家が増えた方がいい。

 食べる人の健康と自然環境にも配慮された地域は、豊かで人が集まる。だから、種苗法は農家だけの問題ではない。私たちの食卓に直結する問題。私たち消費者もこの問題を考え、十分な議論を重ねていく必要があるのではないか。

 農家が自由に生産できれば地域も活性化し、私たちも安心して食べる喜びがあり、次世代に豊かな食と暮らしの環境を残すことにつながる。それが強い農業だと思う。(※3)一代限りの新品種


 私たちにできることは、不ぞろいでも少し高くても(病気しにくい体になるので医療費や余計な出費が減る)栄養と味がある有機農産物を地域で買って地域でお金を回すことだ。さて、遺伝子組み換え作物の特徴の「害虫耐性」は、その作物を食べると害虫が死ぬということである。ゾッ。



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たけまる

いま 世界中でバッタの大襲来が問題となっているけど、これってこのラウンドアップのせい? そして 蜜蜂の減少もそのせいですよね?
家庭菜園で肥料入りの袋を買っているけど、あれって やはり農薬も入っているのかしら。今年始めた菜園が虫に一気にやられて今は見る影もなし。かなしい・・・・。
by たけまる (2020-07-06 09:03) 

bun

たけまるさん、返信が遅くなって、すみません<m(__)m>。
バッタの襲来はわかりませんが、蜜蜂がいなくなったのは農薬が原因ともいわれます。肥料入りの袋に農薬云々は、ごめんなさい、わかりません(^▽^;)入っていないのでは?化学肥料は入っているのか、、。勉強不足だな(^_^;)。
by bun (2020-07-15 23:26) 

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