SSブログ

 おいもだよりとせなかだより 12月    2013年12月5日(木) [おいものせなか通信]

無題.jpg
無題2.jpg

 せなかだより⑫    ポールがやってきた、ヤア!ヤア!ヤア!     2013.12.5
 
 7月下旬、関東で一人暮らしの長男からの電話。「11月に仕事で東京に来ることある?」「うーん、いつもその頃フェアトレードの展示会があるけどね」「いつ頃なの?」としつこく聞いてくるので、「なんで?」と聞いたら、「いや…、ポール・マッカトニ―のチケットがあるんだけど、お母ちゃん行きたいかなと思って」「ポールねえ。ビートルズは好きだけど…、まあせっかくだから行こうかな」「2枚とれたから、お母さん行かないなら、誰か誘うよ」「いや、私が行くから」と電話を切った後で、ディラン派の夫が、「ビートルズの歌を7割くらい歌うみたいだよ。それも最終日だし、これが最後の来日公演だよ。絶対行った方がいい」と言うので、「じゃあ、絶対行く!」それから、目の前に人参をぶら下げたように、その日を楽しみにしてきた。

 私が中学生の時(40年前)に初めて買ったレコードがビートルズ。自営業の実家に夏休みのバイトで来た高校生のお姉さんに教えてもらった。その頃すでにビートルズは解散していたが、すっかりビートルズファンになり、解散後はどちらかというとポールよりもレノンの曲を耳にすることが多かったが、伝説の人、バンドだった。

 それが、今年ポール71歳のワールドツアーで、まさかの来日公演が急きょ決定。チケット予約は、東京公演は応募が30万人超で半数以上が落選、息子はよくとれたものだ。生きているうちにビートルズのナマ歌が聞けるなんて、本当に夢みたいだ。あらためて気づいたことは、私が好きな曲はポールの作詞・作曲が多いと!ウイングスやポールのレコードも奥から出てきて、カフェでこっそり(いやガンガン)かけては予習していった。そして、11月のフェアトレードの展示会も日程が一緒なら交通費が1回で済むと願いながら、これも偶然か、願いが叶ったのかピッタリ合って、仕事も一緒にできて、よかった。

 ついに当日、11月21日の夕方に待ち合わせした長男、ボソッと「よく、来たね」。数日前に、「お母ちゃんがあんなに喜んでくれるなんて」と言っていたと、夫から聞いていた。
 この子は保育園から集団生活になじめず、小学校2年から不登校になり、中学を卒業すると1年半新聞配達で貯めたお金で上京して、途中ひきこもりやホームレスなど色々あったが、今はバイトしながら自立している。絵や音楽のセンスがユニークで、小1の時、私たちが応援していた、素晴らしい曲を書くミュージシャンの友人、高坂一潮の自主制作CDに惚れ込んで、自分のおこづかいで初めて自分用に買ってサインをもらった。若いのに60年代の音楽が好きで、人づきあいは苦手だが、親にCDをプレゼントしてくれたりの優しい子だ。

 でも、今の社会で、将来食べていけるのか、結婚できるのか、友人はいないし…と心配で、「手に職つけたら?」と口うるさく私は言ってしまう。派遣の長時間労働も若いうちはいいけど…。今更後悔しても仕方ないが、子どもの将来を考えると、無理に学校に行かせなくてよかったのかと悩むが、世間離れした夫は、「オレは全然心配していない」と反対の意見で対立する。

 そんな息子がくれたプレゼント。私が東京で働いていた独身時代は、お昼を節約して、勉強のためにと映画、演劇、コンサートのチケット代に費やしたけれど、結婚してからはその余裕もなく、好きな公演が岩手に来てもいつも我慢してきた。

 岩手に来て26年、初めての一流外タレ(古いか)のコンサート、初めての東京ドーム、それも大好きなビートルズのライブ。それもアリーナ。始まった!2時間40分、休憩なく38曲。若いし、カッコイイ!曲に応じた舞台も照明も素敵。ポールは、愛妻に、亡きリンダに、ジョージに、ジョンにと捧げる歌もしっとり歌う。優しくて、サービス精神旺盛で、すべてに愛がある人だ。30年ぶりに乗りまくった。帰りに息子が、「タオルでも買いたかったね」と会場のグッズ売り場のすごい行列を横目で見ながら、入口看板の前で私もめずらしくVサインの写真を撮った。「チケット代払うよ」「いや、いいよ」最高の夜だった。

 音楽でこんなに人を幸せにできるものなんだ。ポールが現役で歌っていたからこそ、かつてファンだった熟年世代を再び興奮させた。年をとっても現役で続けることが、いつか人を感動させることもできるとポールのライブであらためて感じた。無名でも、才能がなくても、できる限りがんばって現役で働き続けようと、新たな励みと元気をもらって帰った。

 今回、「生きていてよかったー」と何度口にしたことか。生きていくことは、楽しいことよりもしんどいことの方が多いと感じてきた。逃げたくなったり、死にたくなったり。でも、そこをこらえて、ひとつでもよかったと思うことがあったら、また生きれる。弱くて、いっぱい泣いて、闘って、我慢して、あきらめてきたことも、いつかこんな日も来るんだと。ここに来てやっと楽しく、うれしいことが見えてきた今年だった。みんな大変。いつかきっといいこともある。生きたくても叶わなかった人のためにも。   新田ぶん

nice!(2)  コメント(1)  トラックバック(0) 

nice! 2

コメント 1

naoko&keiko

最高の息子さんです!!
私も子どもの事で悩む所が沢山あります..。
もちろん、こどものことだけでなく..。恐らく生きているから悩んだり、楽しかったりすることができるんですよね..。
そう考えたら、少し元気が出てきました..。精一杯生きてみようと思います。       なおこ
by naoko&keiko (2013-12-06 08:20) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0